10  『東山の四季』


五条界隈に見られる春夏秋冬の事物を描いた作品。河井家に代々伝わる釉薬で絵付けを施している。表現によって絵の具の種類を変え、四季折々の微妙な表情を描いている。
 

私が幼かったころは、五条にも多くの登り窯が立ち並んでいました。登り窯というのは、産地の工人たちが経験と勘で作り上げた文化なんです。現在の主流である電気やガスの窯もいいですが、私はやはり自然のものがいいと考えています。作品を窯に入れた後は、経過が気になる衝動を抑え、窯に任せ、祈るしかありません。こうして毎回初心のつもりで、土に感謝し、窯に祈りながら制作しています。

河井透  Toru Kawai 

 
1941年 陶工河井武一の長男として生誕
1962年 父のもとにて作陶生活に入る・併せて大叔父寛次郎に薫陶を得る
1977年 広島福屋にて父子展(以後継続)
1983年 東京・大阪・京都・米子高島屋にて個展(以後継続)